センチメンタル交信

ひとりぼっちのビジュアル・リサーチ

2023.0411-0413

20230411

恋愛は所有ではない、すれ違いを知るやさしい修行だ、などと、あるニュースを通じて考えていると、あっという間に神戸市民になりかけていた。

神戸市は市役所はじめ、電車などの公共性の高いものについては合理的配慮が多くみられ、デザインにも力が入っているのケースがよく見受けられる。

デザインは課題解決手段として用いられることよくはあるが、最適解なのかは都度伺われて更新をせまられ安いと感じる。必要性で考えてしまうと必ず不必要なもの、(いまは/もう/すでに)無駄なデザインがあると考えてしまうからだ、などと堂々巡りの思考をしていたら、1050番が呼ばれたので立ち上がる。

これでおれも無印都市の仲間入り。

 

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20230412

はじめての主担当の授業の朝は霧雨で、虫歯のようなコンクリートの匂いがした。(中学時に遅刻した土日の部活のグラウンドの土にも似ている。)

基本的にはファシリテーションっぽい感じなので、これまでの活動と大きな変わりはないがやはり理解や参加意識の浸透度は気になるところ。

幸いにも真面目でやる気のあるタイプの学生たちが来る授業であったので、グループワークの雰囲気も良かった。(いまは全く問題ないが学部の頃に最も避けてきたグループワークを自分が教えるというのはなかなかに感慨深い。)

夜は明石駅に降りてみたのだが、見ず知らずの営業の兄ちゃんに気に入られ、人生相談を受けた。(よくこうした機会はあるのだが、俺でいいのかよ…とよく思う。)

深夜には駅前でスケボーをやっている少年たちと話をして、彼らの満ちたやる気に対する感動に包まれたまま、眠りに落ちた。(社会に擬態せず、頑張れ少年たち、と営業の兄ちゃん。)

 

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20230413

物心ついた普段からセルフ・ロビイング癖があるので、少し場に馴染むためにニコニコ・ヘラヘラしてしまうのは良いのだろうか、とよく悩む。

小学校5年生の時に、小学校の選抜交流として北海道に行くことが決まる際に、「誰とでもぼくは友達になれます!」と言ったことを思い返す。(セミプロの嘘つきの始まり。)

友達の解釈は人によるので、たぶん「誰とでも知り合い風に話せます!」か「誰に対しても最初の入口のハードルは低いです!」が正しいような気がする。

夜は元町中華街でプロジェクトの打ち合わせをし、立ち上げがようやく本格化しそうな流れを感じ、少し身が引き締まる。

やってはいけないことというよりは、なんとなくやられていなかったり、やっちゃダメかもというフレームに入ってるものを、いまはできる限り引き受けたい。(そもそも論かよ。)

 

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2023.0408-0410

202030408

副担当という形ではあるが、始めて授業に参加した。

TAの院生によると勤務先の大学は真面目かつ基礎学力が高い人たちが比較的多く入学するところらしく、確かにと感じた。

帰り際にキャンパス内でこっそり育てているというキノコをもらった。

ぼくが学部の頃キャンパスは山の中にあったが、山の中で蜂を育てている謎の蜂取り名人がいたのを思い出した。(2014年の夏に偶然山の中で出会った。)

毒味担当のような気がしたものの自宅で食べると、美味しい椎茸だったので、自分に与えられた役割を果たせた実感がある。

 

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20230409

予定が急遽なくなったので、古くなったPCを売りに三宮にいった。

2017年モデルであることに気がつき、思い返してみると修論提出直前にiMacが調子が悪くなって焦り急いで買ったクリックシーンがあらわれた。

いろいろな機会で使い倒したため、だいぶひどい状態にありここ半年くらいは全く使用していなかった。(6年間、ありがとう)

夜は思いつきで恋活なるものにいって、事前学習してきた関西弁を披露したが、不合格だった。(面白がって二次会が開催されたので、恋活としては正解だったのかもしれないが、留学者としては不服である。)

終電を乗り過ごし、人気ないニュータウンで満月をみて、少し泣いた。

 

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20230410

二日酔いと持ち越した悲しみがひどく、何も口にせず出勤する。(勤務先が目と鼻の先の距離であることに救われる。)

構内にある紙パックの自販機でバナナオレを買ったが、これが非常に沁みた。

紙パックの自販機は高校生の頃に遅刻して教室に入るのを躊躇い気持ちが落ち着かない時にはかなりの友達だった。

自販機が設置されていた食堂の入り口前にあるフリースペースは、教室に擬態するためのレッスン場のようなものだった気がする。

いまは過ぎた時間のおかげで、自販機が近くになくても擬態をかろうじて行うことができている。(と、信じたい。)

 

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2023.0403-0407

20230403

ついに端くれではあるが、大学の教員になった。

2014年からの兼ねてからの目標であったのにも関わらず、曇りが明らかに晴れていない感覚があるので、所在を明らかにするためにセンチメンタルな通信を開始する。

新居の集合住宅の匂いが2017年4月に引っ越した戸建てに似ていて、少し悲しくなる。

当時の小さな戸建ては屋根裏部屋があることを理由に契約したが、結局一度しか上がらなかった。

翌年の春、当時の恋人と別れたが、彼女は一度も屋根裏部屋には上がらなかった。

 

 

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20230404

新居が昼休みに自宅で昼食を取れるほどに近く、また閑静な場所でとても居心地が良い。

一つの難点があるとすれば、敷地内完全禁煙ということだけだ。(年々喫煙場所は無くなってきているが、ついに本当に吸う場所がない。)

2013年大学3年生の時、喫煙所で話しているグループがいたおかげで、テスト範囲を知ったことを思い出す。(たしか、「コンテンツ産業論」だったと思う。)

結果的にC評価を得てなんとか進級できた時には喫煙者で良かったと思っていたが、いまは喫煙所がぼくを救ってくれていたのではないかと思い直している。

場所も時に人に寄りそうのだから、景色が変わると少し寂しい。

 

 

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20230405

姫路のキャンパスに新入生オリエンテーションの説明のためににいき、案内係の職員の方に新入生と思われた結果、おかげさまで会場に着く。

2011年以来の学部入学の気持ちをとりもどす。当時は震災の影響で入学式は中止、オリエンテーションは延期されてこの時期ではなかったことを思い出す。

延期されたオリエンテーションの後の健康診断で、はじめて大学での友人ができた。(博多から来た子だった。)

彼は訳あって途中で学校を辞めてしまったが、いまだに友人関係は続いている。

最も気軽に多くを話せる友人の一人で、ぼくたちは一般大学であったが、彼はデザイナーの仕事をしている。

 

 

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20230406

関わった人々の中から自分自身の記憶が一定期間でなくなってしまう高校生の女の子が主人公の映画をサジェストされ、鑑賞する。

相手役の男の子とは坂を降りた曲がり角でぶつかって出会う。その時、男の子はTSUTAYAのレンタルケースを持って自転車に乗っている。

TSUTAYAのレンタルケースを最後に見たのは、2012年の夏頃に中学からの友人と「本当にあった呪いのビデオ」を借りた時以来だと思う。

3人組でよくいた友人だったが、うち一人とはもう連絡がつかないでいる。

ぼくたちは本当に仲の良い友人だったのだろうかと、時々いまみたいにふと思い返す。

 

 

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20230407

新居の片付けとして手始めに本棚を組み立てて書籍を適当に並べてみるものの、だいぶ冊数が少ない実感がある。(まだあけてないダンボールはたくさんあるが...)

この感覚の由来は、2016年の夏あたりの引きこもり院生であった頃により多くの書籍に埋もれて暗がり生活をしていたからだと思う。

ぼくを覆っていた書籍たちを、ぼくは2017年3月に修士課程を修了するとともに学問への小さな決別として手放してしまった。

知識や体験をインストールするのは自分自身であるのに、当時は自身の境遇を許せなかったために、手放すことでなかったことにしたかったのだ。

モノは何も悪くなく、悪いのはいつだって自分のフレーミングだ。